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2025-06-19 22:01:00

12) 柳生心眼流の免許体系4   「裏は広い」その2

  伝書の「裏は白い」についてもう少し説明したいと思います。

伝書の表には文字があり、裏には文字がないのです。これを技に当てはめると、表の文字は教えていただいた形です。しかし教わった形だけでは千変万化してくる相手に対応できないですので、これを工夫していろいろな条件での使い方に変化させていきます。具体的なことは道場での立ち合いで伝えます。これを「師匠が砕いて教える」といいます。

こういうのが実際にはとても役立つのですが、初めに習うのは「形」ですから形がある程度できてきたというところで「砕き」に入っていきます。ですからこういうことは長く通って師匠に随身していないと教えられていませんし稽古もしていません。星国雄宗家も「〇〇はあまり師匠から砕いて教わっていないようだ」という評価をしていました。こういう師範は単一の形しか教えません。

裏が白い (広い) というのはその変化が限定されていないことをいいます。つまり無限。相手も違えば状況も違う。ですがいろいろと変化を学んでいると何か法則性みたいなものがあって「たいがい同じ」とわかってきて対応できていくようになる。ここが大切です。これが流祖の伝えようとした本当の「身のかわし」です。そうなるように師範が立ち合いで体や言葉を尽くしていろいろと伝えていくのです。